全力を尽くす事が何よりも大切 〜情熱のある三流であれ〜
「全力を尽くす事が何よりも大切」
よく聞くセリフだ。
もちろん言葉として理解は出来る。
だがその本当の意味に気づいたのは恥ずかしながら最近だ。
私はもともと物事を斜めから見るような斜に構えた性格がある。
人の評価は簡単に出来るのに、自分自身と向き合うのはすごく難しい。
自分を高く見積もりたくて、本気ではなかったと言い訳をする。
「俺が本気出したらもっと良い結果を出せるけど、テキトーにやったからこんなもん」
そんな事を本気で思っていた。
高校受験、高校の部活、大学受験、恋愛。
全てにおいて言い訳をしてきた。
「俺がフルコミットしてたらもっと結果が出ていた。たまたまやる気が出なかっただけだ。」
そう自分に言い聞かせて、「本気出せば出来る自分」という虚像をなんとかして守ってきた。
大きすぎる間違いだった。
齢22にして気づくのは遅すぎたかもしれない。
ただ自分とってはとても大きな気づきだった。
僭越ながらそのエピソードを語らせて頂きたい。
大学3年生の春。私は途方に暮れていた。
就活だ。
一浪している自分の周りは就活を終えた友達が多くいた。
有名企業に内定を貰った者が多くいた。
私が斜に構えている性格なのは先述の通りだが、意外と友達のことは尊敬している。
素直に凄いと思った。
「俺が間違いないと思った友達たちは、一流企業にも通用するのか。すげーな。」
同時に自分にフォーカスした時の絶望感たらなかった。
完全に自分のことを社会不適合者だと思っていたので、少なくとも一流企業への就職は絶対叶わないと思ったのだ。。
「あー、人生終わったわ、、、」
それまで就活のことをなるべく考えないようにしていた自分にとっては直視しづらい現実がそこにあった。
だが、残念ながら人生は終わってないので就活をしなければならない。
そんな事を考えてるうちにどんどんと時間は過ぎていった。
気付いたら秋になっていた。
「あー、マジでどうしよ。。。」
昔から出版社に憧れがあった。
小説、漫画、映画などのエンタメコンテンツが昔から好きだったので、それを創る側にまわりたいなと何となく考えていたのだ。
大学主催のマスコミセミナーなるものに顔を出してみた。
そこは自分が想像していたよりシビアな世界だった。
本気でマスコミを目指す人達の傍で、自分はただエンタメコンテンツが好きなだけだと悟り、とても居心地が悪かった。
結局、出版社にはエントリーしなかった。
周りの友達の助言に大きく助けられ、自分に合っているのはIT業界だと確信して、就活を続けた。
年が明けようとしていた。
年明けに誰もが知るIT企業のイベントに参加した。
魅力的で情熱があり親身な社員の方々、彼らの発言を少しでも吸収しようとする就活生。
凄く刺激になった。
「この人達と働けたら凄く楽しくて充実した毎日を過ごせるんだろうな」
本気で思った。 働くことにポジティブなイメージを持てたのは初めてだったかもしれない。
腐っていたのは自分だけで、世の中にはイキイキと働く人、それを目指す人がたくさんいるんだなと思った。
「でも俺大学で成し遂げたものなんて何にもないし、無理だよなぁ、、」
「でもチャレンジさせてもらえるチャンスがあるなら頑張りたいな、、」
斜に構えて、本気を出すことを恐れる自分が少し変われた瞬間かもしれない。
玉砕してもいいから頑張ろうと思えた。
本当に運良く上記のイベントに参加した企業から早期選考に参加させて頂く機会を貰った。
早期選考参加のメール受け取った時に一人でガッツポーズしていた。
「とりあえず土俵には立てたぞ!!」
面接前日は気が気じゃなかった。
その企業のCMが本当にカッコよくて好きで、前日に10回くらい見た。
風呂に入った時に震えが止まらないことに気付いた。
「マジか俺、めちゃくちゃ緊張してるやん笑
怖すぎるな。。」
「あれ?でもこんな感覚なかなかないぞ。もしかして俺今本当に本気だから震えてるんじゃないか?」
不思議と緊張をポジティブに捉えられた。気持ちの良い緊張だった。
斜に構えて失敗を恐れ、本気じゃないと言い訳をしようとする自分は何故かいなかった。
30分の面接が終わった。
直近3日程で言いたい事を体系的にまとめていたのだが、言いたいことの8割は言えた印象だった。
「ふー、やりきったな。まあこれで落ちてたら俺より優秀な奴らがたくさんいるんだろう。そればっかりは仕方ない。」
面接の合否はよそに、自分がやりきったことに充実感を感じていた。
その日はよく眠れた気がする。
次の日の昼下がり、件の企業から電話がきた。
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麻雀漫画の金字塔、「アカギ」に次のようなセリフがある。
少し長いが引用したい。
誰だって成功したい。
でもその成否にとらわれて、情熱を失ってしまう事が1番まずい。
めちゃくちゃ俺の事だ。
結果の成否にとらわれすぎて自分が頑張った事を認められない。
繰り返すが大きすぎる間違いだった。
残念ながら、私には神が与えた才能は一つもない。
だが、才能はなくても情熱を持つことは出来る。
三流でも情熱さえあれば上等だ。
きっとその方がすがすがしく生きれるはずだ。
もう一つ。
これまた残念なことに人は弱い。
こと私自身において言えばそれは尚更顕著だ。
きっとブログまで書いたこの決意はいずれ風化していってしまう。
その事をまずは受け入れたい。
そして自分なりにではあるが、就活を頑張った事を忘れないようにしたい。
そして最後にもう一つ。
我らがスーパースター本田圭佑選手のTwitterのプロフィールには以下の記述がある。
「A challenger also, I'm a big supporter of dreamers who want their dreams to come true」
訳すと
「私はチャレンジャーだ。そして夢を追う人々の大きなサポーターでもある。」
ようやく少し理解が出来た。
懸命に頑張る人のカッコ良さが。
一生懸命頑張る人を側からあざ笑う事だけは絶対にしない。これは固く約束したい。
繰り返しになるが、そうした方がすがすがしく生きられる。
おっと失礼。
彼の言葉を借りるなら、
「きよきよしく」
だった。