バイト先の上野さん
バイト先の上野さんについてお話しさせて下さい。
八月から新しいバイト先をはじめました。
カラオケ館 代々木店。
理由は簡単、ラクそうだから!
新宿にそびえ立つカラ館と違って代々木店はワンフロアしかないし、客もあんまり来なさそう!
という理由で面接を受けに行きました。
面接に行くとよくわらないハゲ(店長)がいてクソつまらない話をしてその日は終わりました。
店長の印象はあんまり良くなくて、めっちゃ遅番(23時〜6時)に入れようとしてきました。
店長「早番と中番希望ということですが、遅番は入れませんか?」
俺「ちょっと厳しいです」
店長「次の日予定がない時とかも厳しいですか?」
俺「はい」
店長「理由を聞いてもよろしいですか?」
俺「はい。私は生活リズムを大事にしているので、そのリズムを崩したくないからです(大嘘)(最近は寝るのが3時とか4時とかになるのが普通)」
こんな感じの会話をしていたので、なんかダルそうだな。。。
バックれようかな。。。
と重い足取りのまま初出勤しました。
出勤すると例によってハゲがいて、初っ端からテンションが下がった訳ですが
その日は意外と面白かった。
部屋にドリンクを運ぶ作業を教えてもらうということで実際のバイトの人に教えてもらいました
そこで教えてもらった3人の人がみんな女性でそしてまた可愛かった。。
学校のクラスにいそうなタイプで解説させてもらうと
1人は結構喋りやすくて、親しみやすい人で学級委員長とかをやりつつ、「ちょっと、男子ー」とか言ってそうなタイプ。
1人はクールな感じで、喋りかけ辛いと見せかけて話してみたらめっちゃフランクでノリがいい。後輩によくわらない絡みをしてくるタイプ。
もう1人は面倒見がよくて、何かと自分の動作を声に出す。一人称がオレ(リアルで自分のことをオレという女性をはじめて見た)
個性豊かで可愛い3人がオレ1人に丁寧に教えてくれる状況を受けて、
俺を主人公のラブコメでも始まるのか???
ついに俺の時代が来たのか???
と錯覚するほどだった。
話がなかなか上野さんまで進まないが、こんな感じで、私は
あ、このバイト先悪くないな
と機嫌を取り戻したのだ。
そこから仕事が始まるわけだが、仕事の内容は厨房でドリンクやフードを作って部屋に運ぶことと客が帰った後の部屋を掃除するくらいで、仕事自体にやりがいを見つけるのは難しい。
やはり楽しいのはバイト同士の会話だ。
幸いなことにバイト先の人はみんな優しくて輪の中に入っていくのが苦手な自分でもすんなり仲良くなれた。
そこで登場するのが今回の主役、上野さんだ。
上野さんはオレより2歳年上で、出会った当時は大学四年生だった。
このバイト先にはほとんど大学生がいないので勝手に親しみを感じていた。
上野さんは人気者だった。
みんなに慕われていた。
その理由は彼の人柄にある。
上野さんは誰にでも気さくに話すし、自分の考えている事をズバズバ言うから一緒にいて居心地がいい
上野さんはオタクである。
アイマスとかが好きと言っていた。
休日にはサバゲーをやっているらしい。
上野さんは最初オレに対して敬語だった。
「なんで敬語なんですか?」
と聞くと
「いや、まあ知り合ったばかりだしね、私なりの礼儀なんですよ。もうちょっと仲良くなったらタメ口になるかな」
もっと仲良くなりたいと思った。
そんな中、上野さんがバイトを辞めてしまうということを聞いた。
8月にはじめたばかりのバイトだったが、9月いっぱいで上野さんとお別れになってしまったのだ。。。
とても悲しかった。
上野さんはある時、
「奥田さんはお酒は飲みますか?」
と聞いてきた。
「はい、結構飲みます。ビール厨です。」
と言うと
「そうですかぁ、私もねお酒大好きなんですよー。秋葉原で酒飲んで、メイド喫茶で働いてる女をみるのが好きなんですよー」
「え、どういうことですか?笑笑」
「メイド喫茶で働いてる女って闇深いでしょ? リスカとかしてたり、彼氏に殴られたりしてるのかなー?って想像するのが楽しいんですよ笑笑」
「あー、なるほど。」
最初聞いた時は
何を言ってるんだコイツは
と思ったけれど、よく考えたらめっちゃ面白い。。。
この話を聞いてから上野さんのことがさらに好きになり、もっと親しみやすくなった。
人間関係は、人に言えないような自分の汚い部分をさらけ出した方が面白くなるかもしれない笑笑
上野さんは大学を九月で卒業して、就職するらしい。
他のバイトの人はオレに仕事を教える時、まじめに教えてくれたが、
上野さんはテキトーだった(いい意味で笑)
新しいバイトでの緊張がほぐれた気がした。
あっ、そんな気負わずにテキトーでいいんだなと
上野さんが辞めてしまうと知ってから、次に会った時
別れが悲しいですと伝えた。
そしたら上野さんは会った回数が5回にも満たないオレに対して
「そうだなー、本当にすぐにお別れだったからなー。でも会えて良かったよ!」
と言ってくれた。
お世辞でも会えて良かったよと言ってくれて嬉しかった。
こういうセリフがサラッと言えちゃうのも彼の魅力なのだ。
会って間もない人との別れがこんなに悲しいなんて、、、
きっとそれは上野さんがとても魅力的な人だということなんだろう。と思って少し嬉しくなった。
別れが悲しいと思えることも素晴らしいことなのかもしれない。
サヨナラ上野さん。
上野さんの人生に幸あれ。